ミレニアル世代にも評判の新版パフォーマンス・マネジメント手法 |
2012年12月、日本のJISに当たる米国国家規格協会ANSIが、パフォーマンス・マネジメント09001条項を認可しました。
このパフォーマンス・マネジメント条項は、従来の煩雑で、評判の悪いランクづけ評価方法を是正するもので、2016年現在、10%程度の米国企業が導入しており、その他の欧米企業も続々とこれに追随する動きを示しており、2〜3年以内には、大半の米国企業が導入することになります。 ただ、GE,IBM、デル等では、ランク付けは行わないものの、従来とは違う視点で、レーティング評価を行っています。従来の個人結果から、チームや組織への貢献度を重視する傾向にあり、クラウドソーシング等の手法も評価に取り入れている所もあります。 ANSI版PMでは、あくまでも基本ガイドラインだけが規定されていますが、規定されてない部分は、企業風土により、独自の評価法に基づいています。 その中でも重要な点は、従来、組織内でのアセスメントやランクづけを重視するより、継続的な学習環境を構築するため、より迅速なフィードバックで、より充実したコーチングを重視する方向に転換したものです。
この改善により、急速な市場の変化に対応し、目標の見直しを含めて、人事考課を行うコーチング&人財開発モデルへの転換になります。 また、従来のISOのマネジメント手法におけるPDCAプロセス重視の考え方は、そのままですが、良い結果を引き出せるより効果的なマネジメント手法をとっているかを示すガイドラインになります。 欧米企業での急速な普及に伴い、70-80%の方から、評判がよく、スマホのフィードバックソフトを活用した導入法は、特にミレニアル世代からは、高い評価を得ています。 日本では、この評価・効果測定手法に関して、色々な議論が出てくることが予想されますが、日本企業の得意な品質管理と違い、ホワイトカラーの効果性をどう測定して、評価するかが課題になります。 欧米諸国では、多くの導入事例が、SHRM/ATD等の国際大会でも発表され、日本の外資系企業を中心に、普及することになります。 詳細は、パフォーマンスコーチング&メンタリング基礎コース、及びパフォーマンス・マネジメント実践コースで紹介しており、具体的事例のロールプレイ演習も体験できます。 特に、品質管理、環境測定分野では、効果測定やその改善手法で、世界をリードする日本企業が多いこともあり、人材マネジメントHRMの分野でも、世界をリードするグローバル企業の登場が期待されます。 |
SHRM/ANSI パフォーマンス・マネジメントで重視される4視点とは? |
それでは、現在のSHRM/ANSI版パフォーマンス・マネジメントでは、どのような点を規定しているのでしょうか?
今回のSHRM/ANSI版パフォーマンス・マネジメントでは、 (1)目標の設定、 (2)日頃のコーチングやフィードバック(これは、英語でPerformance Review(PR)と呼ぶ)、 (3)改善計画(英語ではPIPと呼ぶ)、 (4)他のPMプロセスへの連携 としています。 多くの日本企業では、年に一度の人事考課が、イベント化されており、その作成資料の多さから、この回数を増やすなど、日常業務ができなくなると思いこんでませんか? 日常やるべき監督業務をまとめてやろうとすれば、大変なのは当然のことです。 パフォーマンス・マネジメントで求めているのは、日頃からメンバーが自主的に考え、行動することで、個人の成長を促すことです。 そのため目標の設定も業務目標だけを決めるのではなく、業務目標を達成するために、必要となる個人の目標も設定して、その達成を可能にする支援の仕組みが、あるかどうかが問われます。 自分の努力だけでは、達成が難しい場合には、改善計画を立て、メンターをつけたり、スキル研修を受ける機会をつくる必要があります。 当初どのような目標を設定して、どのレベルまで達成できたかをパフォーマンス・マネジメント・システムに記録し、現場リーダーやマネジャーは、メンバーが行っている行動に対する効果性に関して、適時、適切なコーチングやフィードバックを与える必要があります。これが日頃のコーチングやフィードバック(Performance Review)になります。 もし、市場の競争環境が激変して、当初の目標ではもはや時代遅れになっていれば、目標の見直しも行います。戦略的な対策をとるための人員強化も行います。現場リーダーやマネジャーは、良い結果を待つだけではだめなのです。 状況の変化をきちんと見て、適切に対処するのがマネジメントの重要な仕事であり、パフォーマンス・マネジメントと呼ばれています。 担当者の責任追求ではなく、市場がどう変化し、顧客が何を求めているのか、高い見地でメンバーが効果的な行動をしているかを見て、色々な気づきを与えて、適切な行動ができる様に支援しているかどうかなのです。パフォーマンス・マネジメントでは、メンバーが現実に気づいてなければ、コーチングをすることで、気づきを与え、どう対応するべきかを引き出します。 メンバーにプレッシャーをかけたり、しかったりすることではありません。 どうしてよいかわからない、自信がないので行動できない場合には、現場リーダーやマネジャーは、状況に応じて何をすべきなのかを引き出し、メンバーが動きやすい状況をつくりだすことです。 効果的なパフォーマンス・マネジメントがされているかどうかは、メンバーのやる気と職場の支援環境にも関係し、必要な情報がいつでも見れる環境があるかどうかでもあります。 また、メンバーの努力や結果を素直に認める雰囲気が、職場全体にあるかどうかでもあります。 人事考課(Performance Appraisal)は、これらの日頃のコーチングやフィードバック(Performance review)の集大成として、行われます。 従い、問題が深刻化してから、不本意で、一方的なコメントを伝えるのではありません。適切な見直しを早期に促すために、日頃のコーチングやフィードバックをきちんとすることにより、改善を促し、互いの納得性も高まり、「もっと頑張らなくては!」という気持ちを引き出すことが原則なのです。 メンバーが、人事考課の中身に不満がある場合には、日頃のコーチングやフィードバックに問題があると判断されます。 また、パフォーマンス・マネジメントでは、本来、個人の業績の振り返りや個人の人事考課を行うというより、職場全体、組織全体で最善の努力や支援がなされているか、適切なマネジメントがなされているのかを見るものです。 |
パフォーマンス・マネジメント(PM)で重視される4手法とは? |
それでは、パフォーマンス・マネジメントで、効果を引き出すには、どんな手法があるのでしょうか?
SHRM/ANSI版パフォーマンス・マネジメント ガイドラインに記載される4つの手法には、(1)効果的なモチベーション、(2)コーチングとメンタリング、(3)効果的な認知、(4)双方向のコミュニケーションがどう行われているかであり、これらの実施状況を何らかの形で検証します。 ここで、コーチングだけでなく、メンタリングが含まれているのは、日常業務のコーチングだけでなく、メンバーのキャリア意識を引き出し、業務目標とキャリア目標の整合性をとり、キャリア達成を支援することで、やりがいを高める基本的なメンタリングの要素をいれるのが原則だとの理解があるからです。この考え方は、従来型のモチベーションから、自発的な啓発を促すモチベーション3.0に進化することにもつながります。 メンバー、現場リーダー、マネジャーに対して、職場風土調査を行い、アンケートやヒアリングを行ったり、SNS等により、色々な活動の履歴を見ることもあります。
また、従業員エンゲージメントを高める各種の活動、ダイバーシティを高める運動等、色々な試みも含められます。 いずれにせよ、メンバー個人の問題というより、現場リーダー、マネジャーが一体になり、職場のモチベーションを高め、職場を活性化する効果的なマネジメントがあるかどうかなのです。メンバーのキャリア意識を引き出し、市場の変化に対応するためのスキルと意識の向上をはかっているかどうかでもあります。 この中で特に重要なのは、各職場では、メンバーのやりがいを高めるために効果的なキャリア・マネジメントがなされているのかでもあります。 一方的なコミュニケーションではなく、双方向のやりとりがあり、自律して、仕事ができる様になっているか、成果を認める習慣と仕組みがあるか、将来を見据え、キャリア意識をたかめ、磨きをかける場を提供しているかが問われます。
更には、中長期の戦略的計画を立て、その実現に必要な戦力計画(Workforce planning)を立案し、戦力強化を図っているかになります。 これらを含めた総合的な対策としてタレント・マネジメントを導入する下地が整っているかどうかが課題になります。 |
パフォーマンス・マネジメントに関する課題と不安に答える |
パフォーマンス・マネジメントに関しては、色々な課題と不安を感じる方もいるかと思います。 一番大きな不安は、従来の人事考課では、色々な書類を人事総務から要求され、その負担が増えたら、他の仕事がやっていけないのではないかという漠然とした不安でしょう。
日頃のコーチングやフィードバックでは、どのようなフィードバックをしているのかをメール、SNS等で記録を残す習慣があれば、それを参考に、その都度、指導のポイント、成長の記録を残しておくことが可能になります。この記録を後で振り返り、必要に応じて、改善を試みて、人事考課にも役立てることです。 今後は、eメールや日常的やりとりを記録できる社内用のツイッターやフェースブックを活用する会社も増えましたので、この蓄積情報を活用する方法もあります。 現場リーダーやマネジャーは、どれだけ各メンバーに「良い影響力」を与えられたのかが問われることになります。年に一度しか人事考課しない場合、過去の記憶も曖昧になり、記憶を呼び覚ますのに時間がかかるケースが良くみられます。日頃から必要に応じて、効果的なコーチングやフィードバックを行い、気づきを与える習慣をつけることで、気づきを与える機会も増え、その状況をeメール等で記録に残しておくことで、本人の納得度も高まり、面倒見の良い上司として多くのメンバーから認められる様になるのです。 一度にまとめて一方的に伝えるのではなく、互いの記憶が冷めない内に、コーチングやフィードバックを行うのがコツで、意識も高まり、迅速な対応を取ることができます。この方が、互いの負荷もすくなくなり、効果も高まります。 そうすれば、きっと理解度も深まり、敏速な対策も取ることができ、メンバーからの感謝度も増します。 なお、職場でよくある事例で学びたい方は、各種のパフォーマンス関連コースの概要をこちらからご覧になれます。当センターのパフォーマンス関連コースは、米国企業で急速に普及が進む最新版のパフォーマンス・マネジメントを学べる日本でもまれなコースです。
少人数で、中身のある充実した役立つ体験を味わってください。 詳細の最新版ANSI版パフォーマンス・マネジメント(コーチングと人材育成型パフォーマンス・マネジメント)を学びたい方は、パフォーマンス・コーチング基礎コース及びパフォーマンス・マネジメント実践コースに参加ください。 コーチング&メンタリングは何かを基本から学びたい方は、基礎コースへ、ある程度コーチングとメンタリングの基礎知識をご存知の方は、実践コースへの参加をおすすめします。 |
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国際メンタリング&コーチングセンター
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