戦略的ビジネス・パートナー(SBP)とは? |
1997年にミシガン大学のウルリッヒ教授は「Human Resource Champions」の中で、今後高まる戦略的パートナーの必要に関して言及したが、これを契機に従来型の管理エキスパートと戦略的パートナー、更にはチェンジエージェント、事業部で高業績者になる、のどれを目指すべきかの議論が盛んになった。
2004-2005年頃、同教授が中心になり、HRM業界の多数の専門家の意見を「これからのHRの姿」として集大成した本が登場。同教授からは、「HR Value Proposition」と言う新しい言葉も登場し、HR価値の重要性が議論になった。 その中でStrategic Business Partners、HR Business Partnersに関する書籍もいくつかあらわれ、HPIの権威であるロビンソン夫妻からも、「戦略的ビジネスパートナーSBP」の本が発売された。 また、ラルフ・クリステンセンは、「戦略HRへの道」を発表した。日本では、「戦略人事マネジャー」として、生産性出版から発売されている。 近年、SHRMでも戦略的マネジメントのセッションを強化する方針に基づき、この関連のセッションが増加し、次世代のHRの議論をするたびにSBPがホットなテーマになっている。 その背景には、景気の浮き沈みに応じて、人員調整を余儀なくされた人事部は、切ったり、はったりする戦術的な手法に走りすぎ、長期的な戦略として、イノベーションを醸成できる企業風土の実現には、大変苦労していたことに由来する。また、同時に人事部のマネジャーの多くに、女性の進出がすさまじく、SHRM大会での発表者、参加者を見ても、女性の活躍が目立つようになり、HRプロやSBPとして、更なるモチベーションアップをする必要性が出てきたこともあろう。 これは、HRプロとしてのキャリアを目指す人にとって、必見の内容でもあります。 |
皆さんは、戦術的仕事で終わってますか? それとも… |
それでは、HR部門での戦術と戦略の違いとは一体何なのか?
当面抱える問題をどう解決するかを考える手法として、戦術があるが、これは概して、一時的な応急措置であったり、根本的な解決にならないことが多い。 ある事業部で、将来を期待して育てた人材が急にやめたいと言い出し、代わりの人材を探してほしいと要求されたしよう。この場合、コミュニケーション、信頼関係等等の職場での対応の問題なのか、自分のキャリアを達成するために、他の挑戦の道を選んだのか、給与や評価への不信感のためなのかを把握して、根本的な対策を打ったのであろうか? そうしないといつになっても同じことの繰り返しになりかねない。 もし、どこかで、一時的な人財を探して紹介するだけでは、これはあくまでも応急処置にしか過ぎず、良い仕事だとは、見なされない。 例えば、従来の新規採用、中途採用者にしても、導入研修だけでおしまいにするのではなく、先輩社員が職場でメンタリング・プログラムを推進する仕組みを構築することである。この実施にあたり、メンター養成のためのメンター研修の予算をとり、人事考課やコンピテンシー項目には、人材育成を重視し、キャリア評価システムを構築し、キャリア評価では、育成体験を重視する方針を打ち出せば、これは中長期的な視点で、戦略的な対策を講じたと認められ、高い評価を得られよう。 皆さんは、一時的な戦術的な仕事に終わってますか、それとも戦略的な仕事に力を入れてますか? リテンション(人材維持)とエンゲージメント(仕事に対する真剣な取組)の向上の観点から、中長期的な視点で、キャリア評価システムを構築し、その達成のための学びの機会をつくったり、学んだスキルを活用できる機会をつくることがこれからは、大切になるのです。
中長期的な会社の事業計画を構築し、必要となる戦力計画を策定し、それに基づいた人材活用や人材開発を推進することが出来れば、「君はなかなか出来るね。将来有望だ。」と認められることは間違いない。 具体的には、タレント・マネジメントの項目をご覧ください。 これらの対策をじっくり進めるのが、本来の戦略的HR手法と言える。 |
戦略的視点でのキャリア実績を問われる時代をどう生き残るのか! |
そんなこといっても、「当面の仕事で、とてもやってられない」と言うのが本音かもしれない。これは、日本だけにとどまらず、世界的なHR部門の大きな課題でもある。
特に、欧米企業では、定期採用より、中途採用の方が多かったり、必要に応じて、首切りもあるので、戦術的な業務が多くなりがちだ。 しかし、このような戦術的な業務だけを、長年やっていても、HRプロのキャリアとして認められないのが普通だ。
今、HRプロとして、重視されているのは、戦略的視点で、ビジネスパートナーSBP、或いは戦略的人事マネジャー/リーダーとして、どれだけ活躍したかであり、戦略的な仕事のでき具合により、HRプロのキャリアと認められることになる。 そこで、賢いHRプロの多くは、戦術的な業務は、若手人財に任せたり、外部にアウトソーシングすることを真剣に考え、実践している。それで空いた時間をより、自分の力量の向上につながる戦略的業務に集中させるようにしている。 皆さんは、如何ですか? 今、一番力をいれるべきは、戦略的目標を達成するために、どうしても必要になる現在の人事考課を見直し、コンピテンシー項目を明確化し、潜在能力のアセスメント手法や、キャリア評価システムを確立し、更には、中長期計画を達成するために不可欠の戦力計画を立て、それを実現するための人材活用や人材開発の仕組みづくりとしてのタレント・マネジメント手法をグローバルに構築することである。
これらの実績は、社内だけにとどまらず、社内外のHRプロの中でもグローバルに認められ、素晴らしいキャリア実績となっており、もし、SHRMやASTDで成功実績として披露すれば、個人の知名度だけでなく、会社のブランドイメージ向上にも役立つことになる。 |
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