ダイバーシティとは?

ダイバーシティとは?

 日本でも、ダイバーシティ運動がようやく進んできたかに思われ、一部の企業では、多様性推進部として、活動している所もあります。しかし、国により、社会の状況により、その運動の中身は、相当の違いがあります。
 日本では、女性、高齢者、障害者を積極的に雇用・活用する場を広げる運動になっていませんか?
 米国では、確かに、過去は、日本と同様の取り組みをしてきましたが、現在では、肌の色、言葉の違い、あるいは宗教、文化や考え方の違いによるあらゆる多様性を受け入れ、それぞれの能力が発揮できる職場環境を提供することで、新しい商品やサービスを創造し、あらゆる層から支持される企業になることを目指しています。
 米国企業で、ダイバーシティを強力に推進するペプシコ、P&G、ウエルス・ファルゴでは、女性管理職の率だけを示すだけでなはなく、黒人系、ヒスパニア系、アジア系等の構成比や管理職率がその指標になっています。また、これらの人達を対象にしたメンタリング・プログラムが社内でどれだけ広く実施されているかで、ダイバーシティの規模、進化を示そうとする企業が増えています。

世界経済フォーラムの男女格差報告書2009で、男女格差75位の日本

 日本では、ダイバーシティの中で、一番重視されるのが、女性の活躍の機会を増やすことと思われています。男女格差の是正の活動を推進する世界経済フォーラムでは、毎年、ジェンダーレポート(男女格差報告書)を発表しています。最新の2009年度報告書によると、日本の男女格差は、134国中75位にあり、格差が依然として大きいと、報告されています。日本は、南アフリカ、フィリッピン、レソト、中国、台湾、インドネシア等のアジア/アフリカ諸国よりも低い状態にあります。経済活動、政治活動、すべての活動において、女性の貢献度が低いとみなされているのです。
  日本の女性は、家庭で子育てに力を入れる慣習があるとの説明では、少子高齢化化が進む日本の現状において、全く説得力がないと言えます。育児施設等の子育て支援が十分でないのか、女性に対する機会均等の問題なのか、女性の意欲の問題なのか、それを引き出すモチベーションの問題なのか、或いは、折角働きたくても、託児所がないためなのか、多くの複雑な問題が山積みになっています。日本でのダイバーシティ運動は、もはや女性の活性化運動になっている現実があります。
 日本での衣料や食品、雑貨に関する購買決定者の大半は主婦であり、女性の好み、生活スタイルをキチンと理解した上で、マーケティングを進める必要がありますが、この対応が進んでいるかが企業の競争力につながります。単純な機能や価格中心の競争から、デザインが良く、調和のとれた、使いやすい、省エネ性能の高い、健康指向で、環境にやさしい商品がいまもてはやされています。従来の発想で果たして良いのかの発想の転換が進んでいますか? 

本来のダイバーシティが遅々として進まない日本だが、欧米では

 ダイバーシティと似た運動には、ポジティブ・アクションがあります。ポジョティブ・アクションは、日本では、厚生労働省が中心となり、法律を整備し推進しています。特に、雇用における男女の差別を解消するもので、これは、古く1972年に、男女雇用機会均等法により制定されましたが、2007年に改正され、男女両方の差別や、パートタイム・アルバイトにも適用範囲が拡大され、過料も科せられます。また、国連のOECDの要望により内閣府の進める男女共同参画プロジェクトがあり、1999年には、男女共同参画基本法が制定されました。
 この中で、一番重要な視点は、先進諸国の年齢別女性労働力率推移の状況です。世界的にみて、M型を示しているのは、先進国では、日本と韓国だけで、この点では、後進性が残っていると言えます。日本では、少子高齢化と共に、この女性の雇用環境の改善が進まないと本来のダイバーシティの推進は難しいとも言えます。
 その後、2005年には、「2020年には、あらゆる分野において指導的地位の女性が全体の30%を目指す」目標を設定しましたが、この進展度は、非常に遅い状況にあります。
 一方、欧米では、ポジティブ・アクションやダイバーシティの運動は、急速に進展しました。その中で非常に貢献したのが、メンタリング・プログラムの仕組みです。フォーチュン500にランクされるトップ企業では、ダイバーシティに関連するメンタリング・プログラムの数や実績をホームページに掲載することで、会社のダイバーシティの進展度を示しており、それが同時に会社のステータス・シンボルになっています。


ビジネス戦略として、積極的にダイバーシティを推進する米国企業

 女性社員の支援中心の日本は、まだダイバーシティのフェーズ1にあるとすれば、既に女性の社会進出が進んでいる国(例えば、北米及び北欧)では、既にフェーズ2のダイバーシティに進化していると言えます。例えば、P&G社のラフリー会長は、ダイバーシティを企業戦略と位置付けており、重視する理由として、この3点をあげています。@グローバル・マーケットで成功するため、Aイノベーションをもたらす原動力になるため、B世界中から、最も優秀で、有能な人材を採用し、活用するためです。これらの視点を念頭に入れて、日本企業でも戦略的にダイバーシティを推進するグローバル企業が今後増えて欲しいものです。

11分野での雇用機会均等EEOが問われる時代

 現在、ANSI/ISO HR標準化の動きが進んでいますが、その中で、ダイバーシティが、重要なテーマになっています。
 一方、米国内で議論されている雇用機会均等原則EEOでは、11分野と言う大変広い分野にわたっており、年々、罰則も強化され、摘発された事例が急増しています。
 これは、採用時や職場での雇用差別が依然として行われている実体からでもある。
 日本では、募集時の年齢・性別による差別が長年存在し、入社後も、定年制と言う、年齢により、雇用機会に制限をつける措置が未だに残っている。これは、米国でのEEO雇用機会均等違反となることもあり、今後、ISO HR標準では、どのような形になるのか、注目されています。
 欧米企業では、女性の活用と言うレベルだけでなく、年齢、障害、種族・肌の色、宗教や文化習慣の違いによる多様性の問題が一番大きなテーマになっています。
 真のグローバル企業になるには、これらの多様性ある人財を賢く活用することであり、それには、どうするべきなのかを学ぶのが、真のグローバル・リーダーのタレント開発と考えています。
 言語学習単純なコミュ二ケーションは、最初の第一歩にしか過ぎない。
 当センターの推進するダイバーシティは、これらの国際水準にそった幅の広いダイバーシティをテーマにしており、単純な女性活用とは、相当次元の違う内容になることは間違いありません。
 詳細の事例に関しては、メンタリング活用コースでも紹介しています。
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