ティッピング・ポイントとは? |
2000年にワシントン・ポストの新聞記者マルコム・グラッドウェルが「ティッピング・ポイント」という本を出版した所、世界200万部以上のベストセラーになり、世界の注目を集めました。日本では、早くも2000年3月に飛鳥新社から、原作と同様の「ティンピング・ポイント」という書名で翻訳が発売されましたが、そのタイトルの意味が日本人には伝わりませんでした。その後、2007年にソフトバンク社から文庫本として「急に売れ始めるには、ワケがある」のタイトルで、再度発売されました。その副題が、「ネットワーク理論が明らかにする口コミ法則」です。現在のネットワーク社会では、伝統的なマーケティング理論ではもはや説明が難しいとされているものを、この本には、「沸騰点をつくる(流行をつくる)のは、影響力のある少数の存在である」ことを示した興味ある情報が多数含まれています。
それは、優秀な人材の模倣ではなく、多くの人から共感を得やすい特徴ある行動の人(彼らをコネクターと呼んでいる)からウイルスの様に劇的に伝染していくものだという考え方です。また、コネクターのほかに、メイビン(無私の貢献人)も関係しています。メイビンは、企業に雇われて宣伝をしている人ではありません。あくまでも消費者の一人としての感覚と相手に役立ちたいとの気持ちから、色々な人を支援することで、喜びを感じ、社会での存在感を増し、多くの方に信用されるようになります。これは、ちょうど、地域のメンター的な存在にもなります。メイビン(メンター)は、決して、理論で納得させるのではなく、相手の感情によびかけることが重要で、その効果はテキメンです。正しく、プロのセールスマンに近いと言えます。ネット世界のメイビンとして、ブロガーの存在があり、TV広告を強化するより、ブロガーの巻き込みに力を入れる所が増加しています。 日本での卑近な事例として、健康志向のビジネスや、環境・エコビジネスでは、この商品やサービスによりもたらされる価値が、どのようなものなのかをお客がイメージ出来るようになってから、初めて動き始めるもので、その転換のための沸騰点・起爆剤(ティッピング・ポイント)としては、中国食品への薬剤の混入事故による不安であったり、メタボ検診、新型インフルエンザ、将来への温暖化の懸念、更には、政府の施策としての省エネ減税や補助金であったりします。これらは、良い商品を作れば売れるもの、販売網が強ければ売れるもの 、広告販促活動をうまくやれば売れるものと言う旧来の概念とは全く違う起爆剤により、動いているのが実体です。また、各組織内での固有の意識や組織のハードルも存在するので、そのハードルを下げる努力やその支援も併せて行わないとブルー・オーシャン戦略の効果は表れません。 |
ティッピング・ポイント・リーダーシップとは? |
それでは、ティッピング・ポイントは、どのように生まれるのでしょうか? すでにある程度の信頼とリーダーシップが知られている人であれば、方針を掲げて、訴えかければ、ある程度の反応が得られることが多い。これは、伝統的な正攻法です。しかし、一般の人が方針を決めて、旗を振る場合、「彼は、一体何のためにそんなことをしたのか?」と思われるのが必定でもあります。どのようなハードルが存在するのかを考えてみることは意味があります。一般的に予想されるハードルには、@意識のハードル、A経営資源のハードル、B士気のハードル、C組織のハードルの4つがあります。
まず、意識のハードルでは、変革の必要性を目覚めてもらえるかどうかです。例ば、不良在庫が多い場合には、皆で倉庫に実際にいって、現物を直視します。現物をみることで、如何に場所塞ぎなのかが一目瞭然に分かるので効果があります。色々な情報をつかめて、どのように販売すべきかのヒントがつかみやい。在庫の山を目の前にし、「これらの在庫をどのように減らせるかね?」と担当者に問えば、当事者意識も高まり、真剣に考えなければならないと思うでしょう。また、不満を持つ顧客や取引先、更には不満の多い社員と直に会って、今迄の不満内容を聞くことで、相手の立場で、考えられるようになりやすいと同時に、相手に対して、改善する気持ちがあることを示すことで、誠意を伝える良い機会にもなります。これらは、意識のハードルに属するものです。 2番目の経営資源のハードルには、人、もの、金、時間、場所等の制約要因があります。これも出来ない言い訳の中で、大きな要因になります。この中で、どんな優先順位があるのか、あるいは効果が高いものと、効果が薄いもの等が出てくるので、重要でない分野を少なくし、重点分野に集中投資も必要になります。いっそのこと、重要でない部分は、外部に委託するか、切り捨てることも選択肢の一つです。 3番目は、士気のハードルです。これが社員のやりがいの問題です。なぜ現在やりがいが不足しているのかを向き合って話したことはあるのでしょうか? そのハードルがつかめれば、今後の対策は立てやすいでしょう。メンターとメンティの関係があれば、将来の目標の達成を目指して、支援する関係をもつことになり、士気は改善することになります。 最後が、抵抗勢力のハードルです。利害関係、特別な人間的なつながり、支援関係もこの中にふくまれます。これらの複雑な関係を十分理解して、ハードルになっていないかをさぐることです。その中で、オピニオン・リーダーを探し、改革チームに巻き込み、経営者からの支援者を探すことです。 ティッピング・ポイント・リーダーシップに興味がある方は、8月に開催の戦略的人材開発研究会にてASTD2009報告会において、いくつかの事例をご紹介しました。 詳細は、戦略的人材マネジメント研究会をご覧下さい。
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